そうしさえすれば、日本の輸入はところが、試算によれば、日本の「内需拡大」および「市場開放」「規制緩和」は、それを現実的に実行可能な範囲内で行うかぎりは、日本およびアメリカの貿易不均衡是正に対して、ほとんど無視し得るほどわずかな(いわば「誤差の範囲内」の)効果をしか与えることができないだろう。
しかし、アメリカはもちろんのこと、日本もまた、滑稽かつ愚かにも、「内需拡大」論・「市場開放」「規制緩和」論を大真面目に受け取ったことは、たとえば、1986年4月に日本が発表した「Mkリポ−ト」に、もっとも端的に示されている。
そして日本が、「内需拡大」を大真面目に実行した結果、それをやりすぎて金融の超緩慢を招き、カネをダブダブにダブつかせてしまったことが、バブル発生の根本原因にほかならない。
滑稽で愚かな「内需拡大」「規制緩和」論すなわちバブルとは、とりもなおさず、ダブダブにダブついたカネが、土地に向かって行って地価を、株式に向かって行って株価を、それぞれ異様に押し上げた現象にほかならない。
こうして、バブル発生の原因は、明らかにアメリカの不当な対日要求にあった。
しかるにそのことがほとんど議論されないのは、いったいどうしたことなのであろうか。
しかしそれかといって、バブルについて日本側に責任がなかったわけでは、もちろんない。
なぜならバブルの渦中において、日本人のほとんどすべてはそれに踊り狂って、いま思い出しても、おのずと頬も赤らむような乱痴気騒ぎを演じたからである。
そういう乱痴気騒ぎの前提にあったのは、地価・株価政府もマスコミもエコノミストも間違った増え、貿易黒字は減るから、アメリカの貿易赤字もたちどころに減るにちがいない。
この「市場開放」論がのちに(たぶんHw内閣のころから)「規制緩和」論と呼ばれるようになったのは、日本市場を外国に対して閉鎖的にしているのは、日本政府が行っているさまざまな「規制」だーという認識からである。
逆らえないという「植民地根性」)であった。
そこにはさらに、判断ミスもあった。
政策当局は、とくにはじめのうちは、バブルの発生を喜んでいた形跡が、明らかにあるからである。
たとえば、株価の上昇は、日本企業の実力が国際的に認められた証拠であり、地価の上昇は、日本の土地の生産力が上昇した証拠であって、ともにたいへん結構なことではないかーというわけである.しかも悪いことに、事態に対して警鐘を鳴らさなければならないはずのマスコミが、逆にそれをあおりさえした。
さらに、これは自己批判の意味を込めて、恥をしのんでいうのだが、経済学者・エコノミストの見解も、けっしてほめられたものではなかった。
経済学者・エコノミストは、社会に対してたいへん恥ずかしいことをしてしまったものである。
このように見てくると、バブルに関しては、「後悔先に立たず」とはいうものの、残念ながらまさに「一億総儀悔」だといわざるをえないのである。
いまにして思えば、不良債権をもっと早い段階で整理しておくことが、明らかに望ましかったように思われる。
現にmk氏は、首相在任中の上昇が永遠に続くだろうという、およそ非現実的きわまる想定であった。
そういう愚かな前提に立って、銀行はろくに審査もせずにカネを貸しまくったし、ゼネコン等はむやみに土地を買いあさった。
その他、多くの企業や個人も、さまざまな形で乱痴気騒ぎに参加した。
だがいうまでもなく、地価・株価の上昇が永遠に続くことなど、はじめからあり得ようはずがない。
そのことが明らかになったとき、乱痴気騒ぎのツケは一挙に表面化した。
それが、銀行・金融機関の不良債権に代表されるバブル崩壊の後遺症にほかならない。
さらに指摘されるべきは、バブル発生に対する大蔵省や日本銀行など経済政策当局の責任だろう。
金融の超緩慢はいうまでもなく総需要政策の大失敗であり、その責任が、大蔵省・日本銀行を中心とする経済政策当局にあることは、いまさら指摘するまでもない(余談ながらその責任は、話題のノーパン・しゃぶしゃぶ事件より、はるかに重大である)。
この大失敗を引き起こしたのは、何よりもまず、アメリカに対する弱腰(アメリカの要求には、絶対景気はなかなか好転しないばかりか、低迷を続けた。
それもあって、株価・地価はいっこうに上昇せず、むしろじりじりと下降をつづけた。
さらに最近では、アジア諸国の通貨不安が、全世界的に株価を「先送り」の矛盾がT銀・Yiで一挙に爆発不安定にしている。
景気が好転しないと、銀行の不良債権は増えてしまうおそれがあるし、株価が下がると、銀行保有の株式の含み益を減らして、銀行経営の安定性を脅かす。
細かい話をすれば、他にもいろいろ事情はあったにせよ、基本的には、そういう「先送り」の矛盾が一挙に爆発したのが、1997年6月のYi証券.Ht銀行の経営破綻であった。
要するに、「なしくずしに何とかなる」という見方は、やはり甘かったのである。
こういう巨大な金融機関でさえ経営が破綻するようでは、何が起こっても不思議はないというわけで、強烈な金融不安が生じ、国民は震え上がってしまった。
消費・投資など、国民の経済活動は萎縮し、景気の先行き予測ということでいえば、ここしばらくは、明るい要素は皆無だといわざるを得ない。
1998年に入って、政府はついに公的資金の投入を決意し、刈兆円を準備した。
うちW兆円は預金者保護のために、残り咽兆円は銀行の自己資本強化のために使われることになっているけれども、後者は、いわゆる「護送船団方式」の影響を受けて、投2年夏に、公的資金を導入してでも不良債権の処理をやろうかと提案したことがある。
しかしその提案は、世から非常に冷淡な反応しか得られず、結局具体化しなかった。
世が選んだのは、処理の「先送り」だったのである。
おそらく世は、事態に対してはなはだ楽観的で、そのうちに景気が回復して、地価や株価が再上昇すれば、いわばなしくずしに、おのずから事態は解決するのではないかと考えたのだろう。
要するに世は何とかなると考えた。
それもあってか、政府はやたらに不況対策を連発して、何とか景気を立ち直らせようとした。
しかしそれは、使ったカネの大きさとくらべて、大した効果を生まず、ただ政府の財政を悪化させただけであった。
投入すべきところに投入されていないうらみがある。
結局のところ、「10兆円スキーム」は、今日までのところ、政府が巨額の積みガネを積んで見せただけのことであった。
これだけ巨額の積みガネを用意すれば、たしかにある種の安心感はかもし出せるだろう。
したがってそれは、当座の危機(たとえば「3月危機」)を回避するには役立ったかもしれないが、ただそれだけのことではなかっただろうか。
10兆円が適切に使われて、不良債権が本当に処理されるのは、あくまでも今後の仕事である。
アメリカの貿易赤字はいっこうに減らないは別として、旧タイプの商店街は、いまや日本から完全に消滅しようとしている)、けっこう進んでいるというのが事実ではないだろうか。
ポイントは、アメリカが日本に対して、「内需拡大」と「市場開放・規制緩和」とを要求したのは、もとはといえば、アメリカ自身の貿易赤字減らしのためだったはずである。
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